Memory's Piece

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気配を消してビルの屋上を駆けながら、ボクは高鳴る胸を押さえ込んでいた。

いますぐ大きな声で笑いたいという衝動と必死に戦う。


久しぶりだった。

何かを心の底から楽しいと思ったのは。


波狼と初めて会ったときと同じ・・・いや、多分それ以上。

微かに覚えのある気配に向かって走りながら、ボクは小さく微笑む。

さっきから、まるで太陽のようなその気配が焼き付けるようにボクに存在感を示しているのだ。

・・・ボクには眩しすぎる強さで。



暗くなり始めた空に星が散りはじめた頃、ボクは『それ』を見つけた。

深くフードを被っていてよく見えないけど気配でそれと分かる。

大きな鎌を肩にかけているからぱっと見、死に神にも見えるその姿は身長や体格からして男らしいということが辛うじて分かる程度で顔は全く見えない。

見えそうで見えないからじれったいったらない。

アイツのあだ名はこれから死に神決定だ。

しばらく観察することにしたボクはチップをダウンロードをして装いを変えた死に神の立ち位置にチッと静かに舌打ちした。

バッチリ背を向けてくれてるお陰でボクがいる場所から全く顔が見えないんだ。

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