Memory's Piece

「ちょっといろいろあってね。放っとけばいいよ。桃亜姉、いこっ」


ヒラヒラと冷たく手を振るみーちゃんは、私の手を取るとグイッと引っ張ってくる。

「えっ!?」と戸惑う私にみーちゃんは、花のような笑顔を浮かべて「行くよっ!」と促してくる。

混乱してレイさんに助けを求めると、彼・・・女は、呆れたように笑ってみーちゃんの尻尾を思いっきり掴んだ。

「妖猫のミケ」と呼ばれて周りに恐れられているみーちゃんの尻尾を掴んで引っ張るなんて凄い・・・となんとなく感心してしまう。

一方、思いっきり尻尾を引っ張られたみーちゃんは「みぎゃー!!!!」と絶叫すると、月夜見を召喚してレイさんの腕を軽く切って振りほどくと、私を片腕で抱え込んで大きく後ろに飛びずさる。

女の子なのに、よくもまぁ、人一人を抱えてこんなに飛べるなぁ・・・と場違いにも思ってしまうくらいの大ジャンプ。


「クソ馬鹿零一!!!!!惨殺しちゃうところだっただろ!!」


「あら、切りつけたことに関しての謝罪じゃないわけね?」


「そこに関しては謝る必要性をまーーーーーったく感じないね。で、何。」


みーちゃんが尻尾を掴まれたのに殺さなかった。

珍しい。こんな相手は見たことがない。

きっと、うーくんやあーくんでさえあんな怪我ではすまないのに。


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