Memory's Piece


「頼兎君?」


零一は不思議そうに人影を見て首を傾げた。

見覚えがありすぎる人影は、どうみても頼兎で。

見間違いか?と思っていたボクも零一の呟きにどうやら見間違いではないらしいと考えを改める。


「どういうつもり?」


ナギサに問い掛けるが返事はない。

頼兎がここまで入ってこれたのはナギサの仕業。間違いない。


「零一、頼兎がこっちきたらプロテクタ外してやって」


「プロテクタ?」


「深く考えなくていい。お前がこっち側から頼兎に触れればプロテクタは外れて、頼兎がこっちに入れるようになる」


簡潔な説明に零一は「ふぅん」と不思議そうに返事をする。

言葉の意味は分かっていないながらも理解したらしい。

頼兎は少しずつボク達に近づいて来ると、零一を警戒しながらも手招きされて


「ぁでっ!?」


………プロテクタに衝突した。

プロテクタは言わば見えない壁だ。

ぶつかれば当然のように痛い。


「なるほど、これがプロテクタ。」


頼兎に聞こえない程度のボリュームで呟いた零一は苦笑して頼兎の頭に触れた。

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