Memory's Piece
拍子抜けだ。
この反応のなさはつまらなさすぎる。
そうボクが残念がっているのに気付いてかどうかは分からないが頼兎はフッ……と何処かカッコつけて
「いや、ただ単に怒るタイミング逃しただけだけどな。
まぁ、俺だって成長すんだよ。心のサイズはワールドワイドさ」
とか吐かした。
「は? "退化"の間違いでしょ?」
「何だとゴルァ!!」
少なくともボクからすれば退化だ。
いつものようにボクの発言に即反応してぶちギレる頼兎に
コイツはこうじゃなきゃ
と勝手に心の中で頷いていると、クスクスと笑う零一の声が聞こえて、ボクはやっと今いる場所を思い出した。
そうだった。こんな漫才してる暇は無いんだった。
と気付いた所で、もう遅い。
零一はさも可笑しそうに笑いながらボクにチラリと流し目を送ってくる。
「何だよ零一。僕がそんなに可笑しいか?」
「いえ、別に可笑しくて笑った訳じゃないわ。ミケがこんな風に楽しそうに喋るのが微笑ましく思えただけよ」
さっきまでの機嫌が悪かったボクの事を言っているのだろう。
零一がいるのを忘れて漫才もどきをやらかしてしまった自分が激しく悔やまれて、ボクは顔を俯けてチッと小さく舌打ちをかます。
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