Memory's Piece
「ほら、出来たわよ」
「お、珍しくちゃんと二つ結びだ。一応礼は言っといてあげる。サンキュー、零一」
昔から零一にあらゆる髪型の実験と称して弄ばれ続けたボクとしては、一発で思い通りの髪型に結んで貰った記憶が皆無に等しい。
「マジでか!!」と失礼すぎるほど素直に驚くボクに零一は思わずといった顔で苦笑して、何を思ったのか突然ボクの自慢の尻尾をわしづかんだ。
「んに゙ゃあっ!?」
あまりの唐突さに奇声を発してしまったボクは、ブンブンと尻尾を振って零一の手を引きはがそうと躍起になる。
咄嗟に月夜見を召喚して腕を切り落とそうとしたが、相手は零一だ。
さすがのボクも一応自重する。
「魅稀。お礼は目と目を合わせて言うのが礼儀よ」
何が目と目を合わせて。だっ!
「うっさい零一!! 僕の尻尾を気安く掴むな!!」
「コラ!! 乱暴な言葉を使わない!!」
「~~~~っ!!」
口の悪さなんてそれこそ今更だ。
それに尻尾はボクの弱点のようなもの。
もし触ったのが他人だったら、瞬殺して放り投げている。
瞬殺されなかっただけ、零一には感謝して欲しいくらいだ。
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