Memory's Piece

「つーか、誰に聞……」


不思議そうな頼兎の声が遮られる。

……邪魔が入ったからだ。

頼兎の背中に突進するようにして突然現れたのは、頼兎の横に立つナギサによく似た少女。

気配はずっと感じてたからいるのは知ってた。

知ってる気配だったから放置してたけど。

というか、どうしてサナギまで…………とボクは内心舌打ちする。

他の者に気付かれないようにボクに視線を寄越してくる頼兎の横に立つ少年………ナギサは、そんなボクの表情を見て淡く苦笑する。


『怒ってるのかい?』


頭の中に響く聞き慣れた声にボクはふんっと鼻を鳴らした。

怒ってはいない。

いらついてるだけだ。

ボクの心情を察したのか苦笑を更に深めて、ナギサは戯れる頼兎とサナギに視線を向ける。


『君の気持ちも分かる。…………でも、彼も関係者だ。』


『どういうことだ』


『今に分かるよ。
それに、もし彼があの時君と出会ってなかったとしても、彼は彼の道を辿って此処に来る運命だった。』


だから気に病む必要は無いと彼は二人を眺めながら優しく言った。


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