Memory's Piece


「ちょっと!!こっちを見なさいよ!!!」


「み………魅稀……」


「みったん、ゆっきーが………」


地団駄を踏む蠍を完全無視するボクにさすがに慌てたのか、零一とサナギがボクに言うが、それさえもボクは黙殺して滑るように零一の横に移動する。


「さ、用は終わったよ。帰ろっか。頼兎はどうする?」


「…………えっと…あっ、…俺?」


「他に誰がいる。」


あわわと慌てる頼兎に苦笑すると、「えーと………」と頼兎は考えるように頭を掻いた。

考える時間をやろう。と地面に座るボクを零一がジッ………と見つめてくる。

ボクが何を考えてるのかが分からなくて戸惑っているのだろう。

行き場を無くした手から垂れる零一の武器のワイヤーを手遊んでいると


「聞けってんでしょ!!ぶっ殺すわよっ、さく………」


………臨界点を突破したらしい蠍が禁句を発しかけた。

「さ」と発声した時点で、反射的に反応して身体が自然と動いた。


「やんちゃが過ぎるね、夕妃。いい加減、黙れ。」


「……………っ!」


瞬時に動いて蠍…………もとい、夕妃の背後に周り月夜見を首元に当ててボクはキラリと目を光らせた。

突然のボクの動きに着いていけなかったらしい頼兎と零一が驚いたように声を上げるがボクは一向に気にしない。


「今すぐにでも殺してやりたいくらいだけど、残念ながらボクはここを汚したくなくてね。
それに今は君を殺る気分じゃないんだ。
帰ってくれる?」


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