Memory's Piece


「あっははははははは!!」


静かに告げるボクに目を見開いていた夕妃だったけど、少しして正気に戻ったのか大きく声を上げて笑い出した。

楽しそうな夕妃とは対照的にボクは全くの無表情な訳だけど、それが更に夕妃は楽しいらしい。


「なぁにぃ~?アタシ、地雷踏んじゃったぁ~?」


語尾の上がる喋り方でボクの神経を逆なでする夕妃にボクはブチッと何かがぶちギレる音を聞いた。

勿論それはもともと綱渡りみたいなギリギリの状況にあったボクの理性がブチ切れた音だ。

ボクは夕妃の首元に当てていた月夜見を消すと左手に拳を作り、思いっ切り夕妃を殴り飛ばした。

思いがけないボクの攻撃に受け身を取る暇もなく吹っ飛ぶ夕妃を全ての感情を消したボクは当たり前のように追いかけて拳を振るう。

壊れた玩具のようにノンストップに。


「魅稀!?ちょっ、やりすぎだろ!」


無心で夕妃をひたすら殴っていると、さすがに狼狽した風の頼兎が飛び掛かってきてボクを羽交い締めにするようにして覆いかぶさってきた。


「うるさいっ!何も知らないくせに!!」


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