Memory's Piece
ボクの声に応じるように決壊がドクンッと力強く脈動する。
ボクの言葉に驚いたような顔をする波狼は何か言おうとするように口を開くが、掻き消されるようにして声を発する前にその姿を消した。
夕妃はと言えばふてぶてしい態度でニヤリと笑うと『次はその子を貰うわ』と口だけを動かして掻き消えた。
後に残ったのは静かで平和ないつも通りの花畑で、茫然と立ち尽くす零一に、ただ見ていることしか出来なかった頼兎、悲しげにうつむくサナギに、苦笑を浮かべて波狼と夕妃が居たところを見ているボクとナギサだけで。。
静寂を取り戻した花畑は何事もなかったかのように花弁を舞い散らせ、花々がさわさわと揺れるだけ。
「…………うざ」
ボクの呟きだけが小さく、響いただけだった。
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