Memory's Piece

「なに」


力のない返事に苦笑しつつ仰向けになったボクは、頼兎を見上げた。


「巻き込んで、悪い。全部………話すよ。長くなるけど聞く?」


「えっ………??」


「これを聞いた上で頼兎がどうしたいかを決めたら良いよ。波狼と一緒に行くのも良いし、今まで通りボク達と一緒にいるのも良い。………まぁ、離脱という手も無きにしもあらずだけど夕妃はしつこいからちょっと難しいかもね。しばらくは護衛くらいなら派遣してあげるけど」

ボクが一気にそういうと一瞬だけフリーズしたらしい頼兎が、少し間を置いてから小さく「聞く」と返事をした。


「そっか」とボクはゆっくり目を閉じて、過去に思いを馳せた。


「最初ボクん家は、どこにでもあるような四人家族だったんだ。優しいお父さんとおっとりなお母さんと、桃亜姉とボク。そこら辺の家族より仲良しだったと思うよ」


「だった?」


「そ。ボクが7歳の時だったかな。仕事帰りのお父さんを迎えに行く途中で事故にあって、お母さんが死んで桃亜姉が植物状態になるまでは、普通だった」

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