Memory's Piece

「っ、汚いゴミ虫がッ!!」


罵ってみたところで、何も変わりはしない。

・・・・・もう、全ての事に腹が立ってしょうがない。

何なの。アイツ。何なの、自分!!

しっかりしろよ!!

ルーキーってだけで、頼兎をバカにする権利、いまのボクにはないよ、もう!!

下のほうで、糞ゴミ虫が放ったナイフを頼兎が懸命に振りはらっているのが見えた。


「ざぁんねん♪それ、ダミーなの♪」


「……っ!?」


ゴミ虫女の得意げな声と頼兎が息を呑むのが聞こえる。

頭の中で警鐘が鳴る。大きな音で。

反射的に危険を回避しようとする身体にボクは強く反発して叱咤する。

駄目よ!!魅稀!!頭で動くな、動きを止めるな!!

無理やり自分を奮い立たせて、ボクは必死に名前を呼んだ。

対応できなくなって固まるアイツの名前を。


「頼兎!!」


「っ!!」

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