Memory's Piece

「頼兎、前を見ろ!!」


目は閉じるな。前を見ろ。決して負けるな。心で負けるな。

折れかけている頼兎を励まして、ボクは強く地面を蹴る。

間に合わない。・・・・でも、負けない。殺らせはしない。

警鐘は鳴りやまない。きっと、危険だ。このまま突っ込めば、アブナイ。

でも、引けない。ここで引いたら女が廃る。

背後から攻撃を仕掛けようと構えるボクを見て、頼兎の眼が輝きを取り戻す。

・・・・そう。ルーキーはそういう風な目をしてないと。

夢を見て、・・・・・先を見て。

ボクはもう忘れてしまったけれど。夢を見ることを・・・先を見ることを決して忘れないで。


「......だから甘いのよ、妖猫サン♪」


ゴミ虫女が勝ち誇ったように声を上げる。


「……ま、さか!?」


「あはっ、みぃんな馬鹿だよねぇ♪」

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