Memory's Piece

ゆる~い返事を返してきた頼兎に一瞬いらっとしつつ、ボクはもう一度名前を繰り返す。

名前くらい一瞬で聞き取れ、バカ者。

なんとなく視線を頼兎から外したボクの視界にはボクの苛立ちを感じ取ったらしい波狼が肩を震わせて笑っていた。

・・・・・な~んか、ムカツク。

ボクは頼兎が一瞬下を向いた隙をついて、波狼に向かって枕を勢いよく投げつけてやった。

枕は一直線に飛んでいき波狼の後頭部に直撃する。

ナイスアタック!!

 
「……漢字は?」


「ん?
......あぁ、魅力の"魅"に、稀有の"稀"で魅稀。」


「……魅、稀」


胸の中で自分のコントロールの良さに思わず拍手してたら、頼兎の質問に答えるのが一瞬遅れてしまった。

でも、ボクが枕を投げた事にはどうやら気づいてないみたいだ。

ベッドのシーツに指を滑らせて漢字を書いてみせると、頼兎は何やら思案顔になった。

何を考えてるかは知らないけど、なんか真面目な会話って飽きるんだよね。

それに、このゲームのことは、外で体を動かしながらイロイロと教えたほうが早いんだから。


「頼兎、じゃあまずはボクらと楽しく狩りへ出かけようか」


「・・・・・・・・・・・・は?」


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