Memory's Piece
「あ??」
トントン進んでいくボクと波狼の会話にいぶかしそうにしつつも頼兎は数歩、波狼から離れてボクの横に並ぶ。
それを確認した波狼は、静かに一つ息を吸うと二本の刀を抜いた。
『飛べぬように翼をもがれた小鳥達よ
泳げぬように鰭を抉られた魚達よ
嘆き悲しむ君達にいま手を貸そう
翼を返そう 鰭を返そう
籠の鳥は空へ
水槽の魚は海へ
あるべき姿に全てを戻そう
だから君も・・・協力してくれ
美しき歌で 優雅な泳ぎで
俺を助けてくれ
穹窿の奏
波濤の澄
いま乞おう
契約を交わした俺に君の力を・・・・・』
この長い口上は、武器を買ったときに武器屋で教えられる「約束」の言霊。
力を完璧に引き出せるようにと、その武器専用で作られた呪文のようなものだ。
ボクの月夜見にももちろんあるけど、いつもは言わないんだよね。面倒だし。
波狼もいつもは言わないんだけど・・・・。
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