Memory's Piece
「秘伝の傷薬、150個ちょーだい。」
近くにいた店員にそういうと、店員は「少々お待ちくださいませ」と奥へと引っ込んでいく。
さすがに、商品棚にこの数は並べられてないんだ。
150個はやりすぎかと思わなくも無いけど、面倒なのもイヤなんだよね。
しばらくして、戻ってきた店員はボクを裏の倉庫へと案内すると3箱のダンボールを運んできた。
「150個、用意できました。ご確認ください。」
「ん、だいじょーぶだいじょーぶ。数えるの面倒だし。あんがとね。」
ダンボール3箱分の傷薬をボックスにしまいこんで、代金+チップを払ったボクは顔のない店員に尻尾を振って見せた。
店員はそう重要ではない立場のコンピューター。だから顔が無い。
のっぺらぼうみたいで最初は面白かったんだけど、見慣れた今ではなんの感情も彼らに対しては抱かない。
まぁ、その程度の存在ってコトなんだろうケド。
「さて、さっさと帰ってお昼にしますかね。」
ボロビルのほうに体を向けて、駆け出したボクは近くで聞こえた爆発音に耳をピクリと反応させた。
それほど大きな音ではない。多分手榴弾くらいの規模のヤツ。
よく聞く音だからいつもだったらあんまり気にも留めないんだけど、今日はそうはいかない。
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