Memory's Piece

「おはよーん。」


「・・・・なっ!」


「あぁ、起きたか。ほら、服。」


ボクの格好に驚いた顔をする頼兎とは対象的に、冷静な顔の波狼はヒョイッとボクの服を放り投げてくる。

寝室に戻って服を着なおしたボクは、グッと伸びをして波狼の隣に座った。

ちなみに頼兎は向かい合うようにしてもう一つのほうのソファーに座ってる。


「体調は?」


「いつもどーり、問題ナシ。波狼、ボクがつけちゃった傷は?」


「頼兎に買ってきてもらったから問題ない」


「そ。頼兎は?」


「あっ、えっ、俺?」


他に誰がいる。

馬鹿にした風を装って「はぁ・・・。」と溜息をつくと、プイッとそっぽを向かれてしまった。
つくづく面白いやつだ。


「嘘だよ嘘。テリトリー争いに巻き込んじゃってごめんね、二人とも。」


「俺は・・別に。」


「・・・・魅稀が謝った。」


珍しく素直に謝ると、驚愕の更に向こう側みたいな驚きかたをされてしまった。

あ、もちろん、兎にね。

.
< 93 / 237 >

この作品をシェア

pagetop