Memory's Piece
「・・・・やらかした。」
背もたれに上半身を預けて、俺は片手で顔を覆った。
魅稀の地雷がこんなところにもあったとは。
魅稀が引っ込んでいった寝室のドアを見ながら、俺は頭をかきむしる。
いつも飄々としているから、つい忘れてしまうんだ。
「波狼さん・・・・。」
途方に暮れる俺に、困惑した風に頼兎が声をかけてくる。
魅稀のあの尋常じゃない気配に戸惑っているんだ。
「・・・あぁ、悪い。俺もちょっと・・・その、驚いててな。」
心を砕かなきゃいけなかったのに。
少しでも傷つかないように心がけなきゃいけなかったのに。
それを忘れて爆笑してしまった自分が許せない。
というか・・・最低だ。
自らの不甲斐なさに腹が立つ。
「魅稀は昔、親から暴力を受けていたらしいんだ。・・・詳しいことは、俺も知らないんだが・・・。ちょっと前に俺が不用意に家族のことを聞いた時もあんな反応だったよ。多分・・・・。」
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