デスゲーム
これは本心だと思った。沙弥と会って変わったのかな。


「……ぃいよ。お願い…します」


ゆっくりと沙弥の側に腰掛ける。肩を引き寄せもたれかかすと、観覧車が少し傾いた。


「いざとなると緊張するな」

「そうだね。使い回しだけど…隼人の勇気少しだけ…分けて」


俺の方を向いて目を瞑った。腕を背に回すと、綺麗な髪が手をくすぐる。やがて観覧車が頂上に近付いた時…





キスをした。



温かく、甘かった。唇を離すと、静かに抱き合った。


「私まだまだ隼人の事知りたい。もっと知りたいのに…」

「もう十分知ってると思うけど?」

「そうじゃないよ」


声が掠れていて、涙が浮かんでいた。また泣いてる。どうして…どうしてまた。


「泣くなよ。約束したろ?忘れたのか?」

「最後だから…嬉し泣きだよ。これだったら文句ないでしょ?」

「…ああ、ないよ」


互いの温もりを確認し合うようにギュッと抱きしめた。観覧車の時間が許す限り、俺達は離れることはなかった。
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