デスゲーム
………

日も暮れて、帰る前に近くの港を散歩することになった。

塩の香りがして、夜空には燦然と星が輝く。今は簡単な造りの木造ベンチで休憩してる。


「今日はありがとね。楽しかったよ」

「俺も楽しかった。ありがとな」

「……ねえ、人は死んだらどうなるのかな?」


風で髪が靡く。暗闇を照らすのは外灯と…聞こえるのは澄んだ声だけ。


「そんなの誰にも分かんねえよ。よく耳にすんのは星だな」

「星、か。それはそれで綺麗だね。…ありがとね、いつでも私のわがまま聞いてくれて」


神妙な顔つきの中、時折笑顔がちらほらする。今の沙弥は不思議だな。


「これからも聞いてやるよ。お前といた方が毎日楽しいし」

「えへへ、嬉しい。でもそれは無理かな。わがままはもう言えないから」

「何で?何でも付き合ってやるよ?」

「……今日が最後のわがままだから」

「…変な沙弥。ま、いいや」


気にしない振りして頭で考える。でも意味不明だ。迷惑をかけたくないからか?


「大丈夫か?具合悪そうだけど」

「大丈夫。寒くなってきたからだよ」


それを聞いて上着を1枚脱いで沙弥に渡す。
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