デスゲーム
反応がないので振り返ると、虚ろな瞳で俺をチラッと見つめいた。

そしてそのまま関節の力が無くなったかのように膝から崩れ、数段の階段下に転がり落ちた。


「おい……沙弥!!」


胸の痛みなんて関係ない。無我夢中で直ぐさま駆け寄り沙弥を抱き抱える。やばい。吐血していて見るからに苦しそうだった。


「沙弥!おいしっかりしろ!…しっかりしろっつってんだろ!!」


僅かだが口が動いて、掠れた声が聞こえてくる。そっと耳を近付けると何とか聞き取れた。


「最……後まで…うる…さ…いなあ」


ゴホッ、ゴホッと咳き込むと辺りに鮮血が散らばる。やばい…やばい。


「清水、どうした?大声あげて」


何故か川藤が後ろの茂みからでてきた。


「川…藤か。救急車呼べ!!早く!」


川藤は俺の懐を覗き込み、衰弱している沙弥を見て驚きふためいた。


「ちんたらしてんじゃねえ!携帯あんだろーが!命がかかってんだぞ!!」


これ以上でない声でとにかく叫ぶ。身体の全機能が危険を発令してやがる。

川藤が電話してるのを確認して視線を沙弥に戻すと、もう気力すらなくなっていた。
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