デスゲーム
「ま……死に…た…くな…よ」

「だから死なせねえってんだろぉ。俺もっと沙弥と一緒にいたい。

…沙弥と一緒に勉強したり遊んだり笑い合ったりしたいから!!

いっぱいいっぱい…思い出作りたいんだよ!!だから諦めんな!!」


感情が次から次へと流れる。沙弥を励まし、俺自身も励ましたつもりだ。それほど…沙弥の容態は酷い。

しかしその小さな希望も叶わず、沙弥の顔色は悪くなるばかりだった。


「嬉……しい。…隼人……あ…たに会え………よか………た」


嘘…いきなり…。その言葉と共に沙弥の首がガクッと胸にもたれかかる。息は止まり、わずかに開いていた目は力なく閉じた。

…俺の頬に当てられた手は柔らかいだけで、ぶらんとなって握力を感じさせてはくれない。


「あ…ぁあ…沙弥?嘘だろ?からかってるだけだろ?なあ」


揺さぶっても何の変化も見られない。人形のように身体全体に振動が伝わってゆくだけ。


「返事…してくれよ。俺の初めてのわがまま聞いてくれよ。また一緒に学校行くよな?…沙弥?」


無反応。その言葉がピッタリ当てはまる。涙の軌跡が時折光るだけ。


「こんな……嘘だろ…あ…あぁ…あぁ……」


波が悲しみの旋律を奏でるなか、遠くの方で救急車の音が聞こえた。
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