デスゲーム
そう言い残すと俊介は階段を降りていった。さて、炬燵の上は何もなし。となると机か。

机の本棚を調べていると、乾いた音と共に手紙が落ちた。


「なんだこれ。俺…宛?」


『隼人へ』と書かれた手紙。桜井家で俺の事を下の名前で呼ぶのはただ一人。差出人はすぐ分かった。封を解いて中身を取り出す。


「隼人へ…」


沙弥の声が頭の中で再生される。



「隼人へ
この手紙を読む頃には私はもう世界にいないと思います。私には隼人に秘密があります。でも、口で言うのは恥ずかしいので手紙で話すね。

ねえ隼人、私達が初めて会った日を覚えていますか?あなたは図書室が最初だと思っているかも知れませんが、実はもっと前に会っているんですよ?

白樺高校の入試日、私は緊張で周りが見えなくなっていました。あたふたして落ち着きがありませんでした。そのせいで受験票を落とした事さえ気付かなかった。

ハッと無い事に気付いてひたすら探しました。鞄の中、歩いた経路、茂みの中。それでも見つからず、涙目になって立ちすくんでいると、

あなたに、隼人に出会いました」
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