デスゲーム
どうしても秘密にしておきたいのか。…詮索の件…少しだけ考えよう。


「最後に、今までありがとう。早口みたいに書いたから混乱したらごめんね。

隼人は私の死を乗り越えて、とにかく笑って。あなたの事だからションボリしてると思います。

でも私は隼人のそんな姿は見たくないよ。『俺は大丈夫だから』って胸張って言える姿がいいよ。

最後に、私はあなたに会えて幸せだったよ。強引にわがままも言ってごめんね。

…ありがとう。ばいばい。

沙弥より」


全てを読み終えたけど、言葉が出てこなかった。手紙の最後の方は濡れた跡があって、涙だと分かった。

自分一人辛かったのに俺の心配なんかすんなよ。しかも俺の言葉をそのまま返しやがって。

机で見つけたレターセットから用紙を取り出し、沙弥宛の手紙を書く。

俺も書こう。沙弥への気持ちを。自分だけ想いをぶつけて去るなんてずるい。


…そうして書く度に思い出が浮かんだ。


沙弥の笑顔や仕草。香り。共に過ごした時間。沙弥の気持ちを知った上での感情。今思うと、切なくもどこか温かい、そんな思い出。






数分後、俺の想いも全て手紙に書き綴った。丁寧じゃないかもしれないが、沙弥なら勘弁してくれるだろう。
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