デスゲーム
その部屋は日常の香りが漂う空気だが、どこか張り詰めている。

空気が澄み、神聖な場所のようだと感じられた。


「沙弥、清水君も来てくれたからね…」


友達が掠れた声でそう言ったのが聞こえた。

ゆっくりと霊前に近付くと、果物やお花以外にもぬいぐるみ等があり、動物好きだと一目で分かる。

沙弥の表情は再度俺の心を締め付けた。



『話さない』

『冷たい』

『動かない』



これらが鎖となりキリキリと心を締め付ける。友達はそっとその場を譲ってくれた。



「沙弥…今までありがとう。…手紙読んだよ。沙弥もそうだったけど、俺も本当は沙弥の事……ううん、やっぱやめるわ。返事の手紙、ご遺族に渡したから読んでくれな。

これが俺の気持ちだから。さっき言おうとしたことは読めば分かるよ…」


ジッと見ていると沙弥の笑顔がパッと咲いて消える。また咲いては消える。
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