デスゲーム
『動物好きなんだ』

『沙弥って呼んでもいいよ』

『隼人ー、一緒に行こっ』


照れ屋で動物好きで長い黒髪が印象的な沙弥。その全てが今ここで断ち切られる。もう俺の前に実物として現れることはない。


「沙弥……さよなら」


中腰を伸し出口へむかう。俺は静かにゆっくりと、この悲しみの舞台から降りた。


「知ってました?姉貴は……先輩のこと好きだったんすよ」


外へ出ようと玄関に行くと俊介が待っていた。


「ああ、今日知った。感じてはいたんだけど、気づいてやれなかった」

「じゃあこれ知ってます?先輩の携帯についてる熊のマスコット、姉貴のクリスマスプレゼント」


手に持つ携帯から熊が顔を覗かせている。


「姉貴、クリスマスを先輩と過ごしたかったみたいで。日に日にカウントまでしてたのに…」

「…そう…か。それも気づいてやれなかったよ。すまん」

「謝らなくていいっすよ。俺は姉貴の夢を伝えたかっただけ。

…今度は気軽に来てください。あと俺、白樺高校に入学して、姉貴みたいになって、先輩のいい後輩になるつもりです」

「はは、楽しみにしてるよ。じゃ、その時まで達者でな」
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