デスゲーム
「代わりばえしてねえのな」
歩道橋に着いたが、以前と変化はない。ここで人が死んだっていう事すら、ハナから起こってないような感じだ。
手摺にもたれて空を眺める。日が暮れつつある、黒に赤がかかった色。
「やっぱ無駄足か…。なあ沙弥、俺どうしたらいいのかな?」
その呟きは虚しく虚空に消えてゆくだけ。ボーっと空を眺めていると自然に口が開いた。
「自分を信じて強く生きる、か。分かったよ。沙弥の言った通り事件捜索はやめるわ」
諦めきれない。でも行動のしようがない。笑えてくる。俺って無力で……哀れだよな。
そのまま思いつめてたら日も暮れた。遠くの水平線は赤がかって、真上には星が輝いている。
「今日で終わり。俺の求めている真実は迷宮入りか。これでいいんだよな、沙弥。もう疲れた」
手元の携帯の熊のストラップを握る。現実を無理矢理自分に言い聞かせるようにして。
もう事件に関わるのはやめる。そう決意して歩道橋を去り、帰るため駅へむかっていると……
「離してください!!警察呼びますよ!?」