デスゲーム
声の発信源には俺と同い年くらいの女の子が、イカした兄ちゃんに絡まれていた。

腕を掴まれて逃げられないのか。声が大きい、離れていても耳に入ってくる。


「だ~か~ら~、ちょっと良い事してくれたら許してあげるって」

「嫌です!離して。誰か助けて」


最近の若いのは派手だな。行き交う人は見て見ぬ振り。俺もそうするか、厄介事はごめんだ。

空気と同化するように歩を早める。一歩、また一歩と距離が空く。


「あ!あの人私のお兄さんなんです。お金なら沢山持っていますよ?」


そうか、良かったな。親族がいて。もう助かったも同然だろ。


「あ?そうか?ならそのお兄さんにつけてもらうか」


ま、そうなるわな。頑張れお兄さん。びびるなよ、根性で押し切れ。


「そこの兄ちゃんちょっと止まれや。…そこのだらけた服着てる高校生止まれっつってんだろーが!」


ちょっとお兄さんどんだけだよ。…いや待てよ?
嫌な予感がして、どんな人か確かめるため後ろを向くと…。


「おうお前じゃ、ようやく気づいたのぅ」

「嘘…」
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