デスゲーム
うまくいった。少女の解放と、チンピラとの距離を置く事が同時にできた。


「さ、早く!」

「ぇ、ええ?」


戸惑うなよ。関係なしに手を掴んで全力で走りだす。いける、あいつはまだ痛みに悶絶している。


「待てや…こら」


無視して振り切るためになるべく多く角を曲がる。

やがて男の声は聞こえなくなり、最終的に公園にあるドーム状の遊具の内部に逃げ込んだ。


「ハァ…だる。何で俺がこんな目に…。で、あんた何者?」


同じく座って息を切らす少女。疲労困憊なのが見て分かる。


「ハァ…ハァ…。西条高校2年…柊(ひいらぎ) 雫(しずく)って…いいます。…あなたは?」


肩を少しすぎたくらいの髪、黄色いシンプルな髪止めで前髪を分けている。同じ年だが小柄だ。体力を相当消耗しただろう。


「その前に言うことあるだろ?頭のいい学校は礼儀も教えてくれないのか?」

「あっ、すいません。助けていただいてありがとうございました」


ペコッとお辞儀する。その姿はかわいらしく、川藤が見たら一発撃沈だな。


「よくできました。俺はシャイニング…」

「そんな名前の人はいません。正直に話してください」
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