デスゲーム
「沙弥…」


弱々しく、小さな声を静かに拾う。今はただ聞いてやるしかできない。


「そんな時だった。『デスゲーム』の噂が流れたのは。勝てば願いが叶う夢のゲームと聞いて、参加したくなった。そしたら…隼人に気持ちを伝えられると思って」


声が掠れ始める。沙弥の気持ちが痛いくらいに伝わってくる。


「だから私はこの館に来てしまった。…でもすぐに後悔したけど遅かった。『デスゲーム』なんかに参加しなくても、勇気を出せば隼人と………こんなに仲良くなれたのに。バカみたい…」


俺の胸に頭をつけ、小刻みに震えている。


「そう、姉貴は先輩に振り向いて欲しくて参加して死んだ。それは先輩がいるからこそ生まれた気持ち。

つまり……先輩がいなかったら姉貴は死んでなかった」


俊介の言葉が鋭い刃物のように突き刺さる。


「それに加えてさ、先輩が姉貴の気持ちに気づかなかったから姉貴は死んだんだよね。これといい参加理由といい、先輩のせいで…姉貴が死んだんじゃない?」

「俺の……せい?俺が沙弥と…接点を作ってしまったから、沙弥は」
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