デスゲーム
「ようやく分かった?自分にも非があるだろ?姉貴を殺しておいて何が守るだよ。偽善者」


そうだ。もし入試日に俺が親切をしなかったら、沙弥とは関係がない。よって沙弥が俺を好きになることはなかった。

そのことから『デスゲーム』で望みを叶える必要がないため、参加せずに死なずに済んだ。


「私は、隼人のせいで死んだの?自分でもよく分からないよ」


俺に身体を預けたまま、沙弥が涙でいっぱいの顔を上げた。心を鷲掴みにされた気分になった。


「そう。そして俺も清水に殺された」


後ろを向くと福家が立っていて、冷たい視線が送られてくる。


「俺は清水のゲーム強さに憧れた。超越したセンスが欲しかった。だから『デスゲーム』に参加した。

でも清水がいなければ、憧れることなく平凡な日々を過ごせた。才能に貪欲なんかにならなかった。だから……清水がいたから俺は死んだんだ」


追い討ちをかけるような福家の言葉に、精神が砕けそうになる。言われた言葉が心の中で何度も何度も響き渡る。


「そんな…」

「守るとか言ってたけどできるの?清水君は二人も殺してるのよ?口ばっかり。やっぱり偽善者?」


そこには柊がいた。悲しそうで温もりが感じられない。
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