デスゲーム
「やめろ!!」


やっと出た声はレインの手を止めることしかできなかった。


「アア?神に命令する気か?」

「うっ…」


吐き気がする。一部始終を直視してしまった。視界にあれが入らないように目を逸すが、気持ち悪さは治らない。


「あ…あ……」


まずい。柊…気絶寸前だ。

柊も直視してしまった。これ以上みたらダメだ。俺は言葉が出ない柊を、あれが視界に入らないようにして座らせた。


「レイン、それをどこかへ消せ!早く」


柊はぐったりして胸に頭を預けてきた。力が抜けただけで問題はなさそうだ。


「ケケッ☆貴様も見たらドウダ?この成れの果ての姿を」

「くっ、オーナー!」


横目で見るが、まだ直視しているようだ。こいつ、何も感じないのか?


「……レイン、目障りです。片付けなさい」

「ギャハ☆分かったよ。オーナーが言うなら逆らえネエ♪」


指を鳴らす音が聞こえた。すると匂いが消え、元の空気になった。恐る恐る振り向くと、床には何もなくなっていた。


「柊、気分どうだ?もう大丈夫だから」


「……うん、ありがと。…けど、まだちょっと休ませて」


顔色を伺った後、再び身を預けてきた。俺自身もまだ回復してないけど、柊の方が重体だろう。
< 182 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop