デスゲーム
「瞳の形…マジで取れないのな」


揺すっても引っ張っても取れない。柊の指輪と同じ色、形。


「ジャ、これからの展開を期待してるゼェ?貴様も今日は帰れ」

「言われなくても帰るわ。こんな下品なとこ」


柊をおんぶして館を去る。外の空気が清々しい。柊はぐったり眠って、叩いても起きそうにない。とりあえず家に帰ることにした。



………

「あれ?ここ…。清水君?」

「お、目え覚めたか。ここ俺んち」


柊は目を擦り、ソファーから起き上がった。白玉に餌を与える手を止める。

どのくらい寝てるのか分からないから、取り敢えず俺の家に運んで寝かしておいた。


「大丈夫か?ぐっすり寝てたけど」

「はい、迷惑ばかりかけてすみません。夜…ですね。とても眠ってしまいました」

「いいって。落ち着いたら言ってくれ。西条駅まで送るから」

「…私、迷惑かけてばっかりですね。何もできないし……無力ですぷぅッ」


頬を優しく引っ張る。プニプニしてて柔らかい。


「マイナス思考禁止。迷惑じゃなくて俺の勝手なの。しかも柊は無力じゃない。…お前の笑顔、けっこう勇気くれてる」


そっと指を離すと、少し表情が明るくなった気がした。
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