デスゲーム
誤解を解いて柊をソファーに座らし、俺も隣に腰掛ける。


「話しにくかったらいいけどさ、家で何があった?」

「…私の家は常に一番を取らないといけない規則なんです。もし取れなければ厳しく怒られます」


レインの言った通りややこしい家庭だ。


「そんで昨日何があった?」

「私がテストで10番だったから……反抗したら…お父さんにひどく怒られました。いつもはお兄ちゃんが仲介してくれますけど、昨日はいなくて…」


涙がにじみ始めた。声も悲しそうな声に変わった。進学校の西条高校で10番は凄いと思うが。


「お兄ちゃんは常に一番だからいつも比べられるんです。だから昨日『お前は祥一とは大違いだ』とお父さんに言われた時、逃げ出したくて…」


そこまで言うと涙がボタボタと落ち始めた。黒崎以上にクソ野郎だ。


「分かった。もう言うな。無理しなくていいから」


柊の頭を撫でて寄り添った。だが涙は止まらず溢れ出ている。


「もう一つだけ言わせてください。家を飛び出した時、清水君の顔が浮かんだんです。なぜだか分かりませんが、無性に会いたくなりました」
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