デスゲーム
「おかしいな。その事故、よく聞かせろ」

「清水…。事故現場に………氷室がいた」


また…か。またやったのか。あいつ、ここまでしやがるのか!?


「氷室は偶然かもしれないけど…カーブの手前に工事中の看板があってさ、内側に行くのを余儀なくされたんだ。

そして加速すると、看板の死角になってたせいもあって、急なカーブを曲がり切れずにスリップした。……原因は、カーブの途中から油が撒かれてたんだ」


油なんて人工に決まってる。これは氷室の作った罠だ。下手すると無事では済まない質の悪い罠。


「………」


身体が震える。俺に用があるんだったら俺に危害を加えろよ。唇を噛み締め、怒りが頂点に達するのが分かる。


「清水君…」

「……あったまきた。あの野郎もう勘弁できねえ!!」


病室を勢いよく出て早歩きで廊下を歩く。殺してやる。今すぐ氷室をぶっ潰したい。


「ちょっと清水君!!待って!」

「俺やるから。『デスライン』でも何でもやってやる!!用は勝てばいいんだろ!?」


柊は遥か後ろで立ち止まり、来ようとはしなかった。俺の怒りに怯え、歩が出なかったのかもしれない。
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