デスゲーム
着いたな。薄い緑色のカラーに黄色い手摺。間違ない、この歩道橋だ。
階段を一段、一段上るたびに何かを感じる。そして階段を上り切った所にあった物は…
「花…か……。他には何もない。誰かが置いたのか」
多分福家悠也の親族または親友、考えればいくらでも候補がある。
「清水、あいつ本当にここで亡くなったんだよな?」
「そうだな。手掛かりと歩道橋が一致したし、花もある。間違ないだろ」
川藤は花を見て空へと視点を変えた。辺りを調べてしばらくすると、路面の往復を繰り返すだけになった。
だがいつまで経ってもヒントが掴めそうに無い。何もないんだ。普通の歩道橋とどこも変わらない。
………
気がつけば周りは暗くなり始めた。
「もう帰るか。ここにいても何も見つからない。時間を無駄にするだけだ」
「ああ、そうするよ。悔しいけど分からねえ。何か見つけろって言われても出て来ないって」
今は秋風が寂しそうに吹いているだけ。人一人死んだっていうのに周りは平然と動いている。
なす術もなく、俺達はその場を後にした。