デスゲーム
「雫ちゃん行っちまったか…」

「ああ、行っちま……ってうわっ、黒崎。何でここに」

「人をオバケみたいに言うな、バカ清水。…で?雫ちゃんどうすんの?」

「ハァ、見てやがったな。どうするもこうするも、分かんねえよ」


黒崎は煙草をくわえ、やがて煙が上がる。


「ああ?何だよ。あんな可愛い娘、他にいないぜ?」

「柊がいい娘なのは分かってる。けど『彼女』を拒絶する自分がいるんだよ」


その一線を超えるのは簡単かもしれない。柊の告白を素直に受けるとること。けどそれを許すことに、どこか恐怖を感じる。

本当にいいのか?って。


「ふ~ん。乗れ、課外特訓だ。反抗したら半殺しな」


黒い車。持ち主とは裏腹に汚れのないボディ。白玉と共に、フカフカのシートに乗り込む。


「…どこ行くんだよ?」

「少し黙ってろ。いいとこ連れてってやるからよ」


外に雪が降り始めたな。だんだん人通りが多くなっていく。市街地まで車を走らせ、オシャレな店の前で止まった。
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