デスゲーム
「柊、そうやってまた逃げるのか?目の前の現実から逃げて、それで何か変わるのか?」


柊の手からチラッと見えたのは熊のマスコット。俺が御守りとして渡した思い出の物。


「じゃあどうすればいいんですか?私は何をすれば変われるんですか?」


涙ぐむその目から思いが伝わってくる。どうしようもないという、やり切れない感情。


「それは自分で考えろ。俺が言ったら意味がない。悩んで悩んで、それで答えが出なくて初めて頼れ」


そうやって生きてきた。黒崎の元で、無知だった俺がこうして強くなれた。何かを変えるには、待っていたらダメなんだ。


「何事だ!?ッ!、誰だ貴様」


入口にいたのは恐らく柊達の父親。せっかくいい所だったのに……チッ、邪魔が入ったな。


「時間がねえ、柊選べ。ここでこいつらの言う通りにして成功するか、外へ出て柊にしか持ってない可能性を広げるか」


ためらう柊にそっと手を差し延べる。祥一は親を制止して入らせないようにしている。


「私は……変わりたい!!ここでは変わる事なんてできません。


それと……




清水君と一緒にいたい!!」
< 271 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop