デスゲーム
そう言うと力強く俺の手を握り締めた。そうこなくっちゃな。この手この絆、切らせるもんか。


「よく言えました。そうと決まれば行くか」

「え、え!?ちょ……きゃっ」


柊を抱っこして窓を開ける。凍り付くような冷たい空気が部屋を包む。


「どこへ行く!?許さんぞ貴様!!」

「怒るなよ。教科書に載ってる事しか見ないくせに」

「おい、これ持ってけ。二度目で悪いが雫を頼んだぞ」


祥一が投げてきたのは携帯電話。柊のやつの代わりか。


「清水君机の上の鞄もお願いします」

「注文の多い奴等だな。もう忘れ物ないか?」

「はい、もう大丈夫です」


窓の外はベランダか。ひとまず柊を降ろす。


「さて、どうするかな。おっ、あれ使えそ」


排水用のパイプ。それは上から地上へと繋がっている。


「鞄貸せ。俺が先に行って安全かどうか調べるから」

「でも…」

「いいから。お前はここから連れ出す、安心しろ」


パイプの強度を確かめて飛び移る。柊が心配そうに見守る中、地上まであと少しと迫った。


「イケそうだな。楽勝」




ガコン!!




「え?何の音ぉーー………ぐへっ」
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