デスゲーム
「ハハ、それより靴。靴履いて行くぞ」


柊を再び抱っこして玄関にむかう。素早く手頃な靴を選んだ後、今度こそ屋敷を出る。


「さあ、走るぞ」

「はいっ」


邪魔者はいない。脱出成功か。屋敷から少し離れた所で俺の鞄を回収。


「あの…あの人何です?」

「酔っ払いだろ。ほっとけほっとけ」


ポストに寄り掛かりシャツと下着だけの男。こいつにも悪い事したな。


「さて、ここじゃまだダメだな。追跡でもされたら厄介だ」

「では公園に行きませんか?身を隠すのにピッタリだと思います」

「それがいい。じゃあ行くか」


柊の手を引っ張り駆け足を再開する。不思議な気分だ。こんな時なのに楽しい。

公園に着くと、街の明かりのせいで若干明るかった。空は晴れ星々をはっきりと捉えられる。


「ハァ…ハァ。ここまで来れば大丈夫ですね」

「ああ、もう安心だ。休憩しようぜ」


ベンチに座ると、外灯がぼんやりと二人を照らしだす。クリスマスなのか人は全くいない。辺りは静かで微かに車の音が聞こえるだけ。
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