デスゲーム
グラウンドはいたって普通で、月の光だけが全体を照らし出していた。どこの学校にでもある風景だ。


「ここに狼男が…。危険な感じがする。雫、離れすぎるなよ」

「はい。でもいませんね。一体どこにいるんでしょう?」

「油断は禁物じゃ、今は夜で満月。狼になると牙と爪が生えるから用心じゃの」


グラウンドの中央に着いても雰囲気だけは変わらない。いつ来るのか分かんねえ、右手をトンファーに添える。



「…今何か聞こえませんでしたか?狼の雄叫びのような」

「別に聞こえなかったよ。気のせいじゃないか?」

「だと良いんですけど…」


空気が重い。速さも力も分からない相手だ。緊張と恐怖で疲れが溜まる。早く来ないと俺達がもたない。



「…ヮォーん…」

「ッ!?コノハ!」

「ああ、近いぞ。気を引き締めろ」


どこだと周りを見渡しても何もいない。風の動きが妙に不気味に感じる。

雫だけは無事で終わらせたい。大切な人を背に、微かに声のした方向に大きく構える。
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