デスゲーム
いくら攻撃しても当たらない。まるで稽古のように、俺が疲れるだけ。


「そろそろ飽きてきたな。ワシの鉄拳でもくれてやるわい」

「隼人君危ない!!」


目の前に拳が迫る。軌道をよく見ろ。そしてうまく避けろ!!

ピシャッと音がして俺のシャツの左脇が破れ、それと同時に痛みが走る。歯を食いしばりそれに耐える。


「嫌あぁー!!」


遠くで雫の声が聞こえる。そりゃそうだ、化け物に殴られたんだから。

けど、まだ終わらない。


「何!?お前見切ったのか?」

「摩擦でも痛いもんだな。片手だとダメかもしんねえけど、両手ならどうかな?」


俺の左脇にある狼男の右腕をガッチリ掴み、その場から離れないようにする。逃さねえぞ。


「それで何になる!?両手が塞がると攻撃はできないぞ」

「これが最初からの狙いね。今だ!コノハ!!いっけぇ」


俺の声で気づいた狼男は右手の爪を立ててきた。服にジワリと血がにじんでいく。


「なら左手でもう一発食らわすまでよ!!」


ヤバい。また殴られる。コノハ、早くしてくれ。


「頭狙いだコノハー!!」

「くっ、ハアアァー!!」
< 321 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop