デスゲーム
膠着した睨み合いが続いている。俺は後退して二人のやりとりを見守るしかできなくなった。


「左腕を失っても尚、ウチと闘うつもりかの?」

「まあな。降参したいが血が騒ぐ。月を見る度に高揚してしまう」


そんな真剣モードが繰り広げられているが、こっちの空気は違っていた。


「雫何それ?」

「コノハちゃんの帯です。こそっと切らせてもらいました」


コノハを見ると確かに最初と比べると極端に短い。ま、包帯代わりにはなる。


「でも血が止まらない、どうしましょう……私が吸いましょうか?」

「それはそれで複雑だからやめてくれ。後は自分でするから大丈夫」


帯を締め上げると無事止血した。向こうで激しい音が鳴ってるのに顔赤らめて何してんだ俺は。


「隙ありィ!!」


狼男はガード姿勢のコノハの金棒を蹴りあげた。金棒が弾かれ手から離れる。そして俺の近くに雑に落下した。

その隙を突かれた。コノハは首を鷲掴みにされた上、地に叩き付けられた。


「片腕だけだと思い油断したようだな。これで終わりだ」
< 323 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop