デスゲーム

―結晶―

「うわ、予想通りの匂い」


更衣室に入ると、誰もが一度は味わったあの独特の水臭さが漂う。ロッカーに水泳用具が乱暴に散乱している。


「…これからどうするんですか?」

「まずお前ら二人に言っておきたい事がある。ずっと我慢してたんだ」


雫と早川を手招きして近付けさせる。二人共不思議そうな顔をして寄ってきた。


「何ですか?…痛っ!!ふぇー」

「ちょっ、何すんのよ!?」


二人にゲンコツを浴びせる。軽く力を入れただけで、大して痛くはないはず。


「お前ら出すぎだ。少しは自重しろ。特に雫、丸腰でしゃしゃり出るな。いいな?」

「はい…ごめんなさい。…でも私だって力に…」

「力になってるから言ってんの。お前に何かあると俺が立ち直れないんだよ。そういう意味では頼りにしてる。それと、体の調子は大丈夫か?」

「…はぃ」


軽く顔を赤らめて嬉しそうに返事した。俺の言いたい事は伝わったみたいだ。


「早川も殴られる覚悟で待つな。少し頭を使えば分かるだろ?九条に殴る意思はあった事。俺が近くにいたから良かったものの…ん?」
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