デスゲーム
「…3回戦での事です。あの局面で策なんてなかったでしょう?どうしてあんな無茶したんですか」


最後の脱出の時か。俺は雫とコノハを強制帰還させた。策なんてなかったってお見通しか。


「あのままだと時間が経つだけで、二回の転送に影響が出たからな。考えるより先に手が出てた」

「あの時は急で何も言えませんでしたけど、もうあんな無理はしないでください」

「…雫怒ってる?」


眉をしかめて、軽く睨んできてる。悔しい時に出てくる表情だ。


「当たり前です。隼人君がいなくなれば悲しむ人だっているんですよ?残された人は、残す人の何倍も強くないと耐えれないんですよ?」

「…悪かった。もうしないと約束する」


悲しむ人――それは自分もさしている。俺が死ぬと雫が悲しむ。それは絶対嫌だ。


「俺は死なないと約束するから。これから先、『デスゲーム』で何が起きようと。だから信じて待っ…」


そこまで言うと雫が抱き付いてきた。耳元ですすり泣く声が聞こえる。また俺のために涙を流してるのか。
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