デスゲーム
「強くないけど…隼人君の不安や恐怖を全て吹き飛ばせるなら」


髪が垂れ下がったせいか、良い香りがする。そんな雫は俺の涙に触れると無理に笑った。


「顔歪んでるぞ。ははっ」


俺も無理に笑えはした。雫を安心させるために。でも心には『死』が列になって…闇が…暗くて…『死』『死』『死』『死』『死』。









『オレモシヌ』





「隼人君っ!…大丈夫だから。大丈夫…だから…」


雫のおかげで正気に戻れた。お互い涙を浮かべながら抱きしめる。

同じ気持ちだからかな。不安や、そういった負の感情がになくなってゆく。代わりに心に満ちるのは……勇気や元気、希望、想い…。


少しばかり心の霧が晴れていった。言葉だと幸せって表現できるかな。


「雫…」

「何です?」

「ありがとう……」


全てを預けられる存在。雫がいれば、悲しみや恐怖なんて感じずに済む。

そしてこの愛しい人のために、『デスゲーム』で何が起きようと、希望だけは失わないと固く誓った。
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