デスゲーム
「私、本当はここに帰りたい。何もいらない。成績だって上げます。だから行動を縛るのだけはやめてください。…そして前みたいに一緒に…」

「ダメだ。どこに脱走したかと思えば、こんな奴とフラフラ…情けないな。お前はトップに立ち、責任ある行動を身に付けるべきだ」


部屋を見渡す。…そうか、お父さんは大きい会社の社長さんっぽいな。その一言で業界がゆれることもある。

で、祥一か雫、あるいは両方に会社を継いでほしい。だから、今からその資質を磨かないといけない。

雫の丁寧な口調もそれで頷ける。


「わ、私はそんな世界になんて興味ありません。自分の道は自分で決めます。人形じゃありませんから」

「ならお前はもう…。優等生になる意志がないなら……出て行きなさい」


数十秒の膠着。横目で雫を見ると、目が潤っているが唇を噛み締め必死に堪えている。

酷い事を言う父親もいるもんだ。けどまだだ俺が口出す時じゃない。これで終わる雫じゃない。


「…嫌です。言いなりになるのも、お父さんと別れるのも。

……ゲームをしてください!!明日の深夜0時までに、私を連れ戻させていたらお父さんの勝ち。そうでないと私の勝ちです」
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