デスゲーム
立ち上がり父親を指差してゲームを申込む雫。その瞳には強さが宿っていた。


「開始時間とメリットは?」

「明日の午後一時に開始。メリットは、敗者は勝者の言う事をなんでも聞く。何でも使って構いません」


雫が逃げ切れば勝ち。お父さんに捕まれば負け。簡単なルールだな。


「いいだろう。受けて立つ」

「良く言った雫。お父さん少しいいか?…会社の役員なんていくらでも代わりはいるが、雫にとっての父親はあんた一人だ。それはあんたも同じ。肝に命じとけ」


頑張ったな雫。もう目尻に涙が溜まってる。けどそれでもまだ泣こうとはしない。


「お前は…お前にとって雫は何だ?」

「大切な人。想いは大きいつもりだけど、あんたの本心より少し負けるかな」


指で大きさを示してその隙間からお父さんを覗く。俺は軽く笑うと、雫を連れてリビングをでた。


「雫…今までの事聞いちゃった。無理しないでいいのよ?泣いてもいいから」

「お母さん…お母ぁさん」
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