デスゲーム
「そんな事ない!!離してよ、私が狙いでしょ!?隼人君は関係ない。隼っ…」


そこまで言った所で雫は強引に車の中へ押し込まれた。両腕を黒スーツに捕捉され、嫌々ながら連行される雫を見ているしかできなかった。

車に乗る最後の最後まで俺を見続けていたのに。必死に助けを求めていたのに!!


「フフッ、じゃあね。…あ、そうそう。0時まで港の倉庫にいるから。ゲームは面白くしないと。アハハハ…」


中村も俺を見下した後、車に乗り込んだ。エンジン音と共に車が……発車する。

遠ざかる3台目の最後の車両―――窓ガラスから俺を呼んでいる雫と目が合った。悲しそうで、想いをぶつけるような、そんな顔してた。

その場から離れてゆくエンジン音。静かさを取り戻したそこには、俺ただ一人が取り残された。


「雫…」


動かない体で…無力だよなあ。あいつまた泣きそうな顔してた…。
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