デスゲーム
「でも隼人君以外の男性とキスしちゃいましたし…涼君の事怒ってますよね?」


雫の性格はよく分かってる。自分より人の心配ばかりしてそれに、争い事は大嫌い。


「さっきのキスで全部許す。俺はちっとも怒ってないから安心して。中村も命令だったし、きっと仕方なかったんだ…」


雫も額を合わせたまま、両手を俺の首に回してきた。恐らく目はお互い閉じたままで、表情は分からない。


「黒崎さんから『熱いキスを』って言われてましたけど手間が省けました。優しいよ…。えへへ、隼人君…ずっと一緒にいたい」

「バーカ、雫が望む限りずっと一緒にいるから。会えない時でも、気持ちはずっと側にいるから」


そっと額を離して目を開けると、雫も目を開けた。その瞳に俺が映っている。


「アイコンタクトは馴れちまったか。残念」

「まだ少し抵抗がありますけどね。えへへ、隼人君の方が照れてるよ」


そう。いざ雫の瞳で見つめられると余裕がなくなってしまう。雫も顔が赤いが、俺も同じだろう。
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