デスゲーム
その冷えきった手を両手で包み込む。多分慌てて家を飛び出したんだな。俺なんかのために…。

しかも九条の言う通り、この時のために…昨日から…ずっと側に…。


「何で…何で来たんだよ。来るなって言ったろ?」

「あの目です!どうして絶望したような目をしてたんですか!?ねぇ…辛かった証拠でしょ?」


雫の目から涙が流れる。やっぱ敵わないな。隠しきれてなかった。


「バカ!一人にしないで!ずっと側にいるって約束したでしょう?」


俺の胸に頭を当て、肩を叩いてくる。その一つ一つの拳に心が締め付けられる。


「雫……俺…」

「今にも死ににいくような目して……いなくなりそうな気配だけ残して!

心配したよ。何であんな顔するの!?」


力を込めて俺の服を握り締めてくる。雫にとってあの行動は残酷だとは思ってたけど……やりきれない、強い想いが俺にぶつかってる。


「ごめん。俺は大丈夫だから。きっと生きて…」

「隼人君の大丈夫は本当か嘘か分からないよ!…ねぇ、あなたの本心はどこにあるの?」
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